[行列解析4.3.43]定義(非増加順整列・非減少順整列)

4.3.43定義非増加順整列非減少順整列

定義 4.3.43.

\( z = [z_i] \in \mathbb{R}^n \) とする。\( z \) の非増加順整列とは、\( z \) の成分(重複を含む)を大きい順に並べ替えたベクトル

z^\downarrow = [z^\downarrow_i] \in \mathbb{R}^n

であり、これは \( z_{i_1} = z^\downarrow_1 \geq \cdots \geq z_{i_n} = z^\downarrow_n \) を満たす。

同様に、\( z \) の非減少順整列とは、\( z \) の成分を小さい順に並べ替えたベクトル

z^\uparrow = [z^\uparrow_i] \in \mathbb{R}^n

であり、これは \( z_{j_1} = z^\uparrow_1 \leq \cdots \leq z_{j_n} = z^\uparrow_n \) を満たす。

演習.

メジャライズの不等式 (4.3.42) が次の「トップダウン不等式」と同値であることを説明せよ。

\sum_{i=1}^k x^\downarrow_i \geq \sum_{i=1}^k y^\downarrow_i 
\quad (4.3.44a)

ここで \( k = 1, 2, \ldots, n \) の各場合について成立し、\( k = n \) では等号が成り立つ。また、次の「ボトムアップ不等式」とも同値である。

\sum_{i=1}^k y^\uparrow_i \geq \sum_{i=1}^k x^\uparrow_i 
\quad (4.3.44b)

ここで \( k = 1, 2, \ldots, n \) の各場合について成立し、\( k = n \) では等号が成り立つ。

ヒント: \( s = \sum_{i=1}^n y_i = \sum_{i=1}^n x_i \) とおく。このとき

\sum_{i=1}^k y^\uparrow_i = s - \sum_{i=1}^{n-k+1} y^\downarrow_i, 
\quad 
\sum_{i=1}^k x^\uparrow_i = s - \sum_{i=1}^{n-k+1} x^\downarrow_i

演習.

\( x, y \in \mathbb{R}^n \) とし、\( P, Q \in M_n \) を置換行列とする。このとき「\( x \) が \( y \) をメジャライズする」ことと「\( Px \) が \( Qy \) をメジャライズする」ことが同値である理由を説明せよ。

演習.

\( x = [x_i], y = [y_i] \in \mathbb{R}^n \) とし、\( x \) が \( y \) をメジャライズすると仮定する。このとき

x^\downarrow_1 \geq y^\downarrow_1 \geq y^\downarrow_n \geq x^\downarrow_n

が成り立つことを説明せよ。

次の2つの定理は、メジャライズという概念が行列解析にどのように現れるかを示している。


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