[行列解析4.3.5]系

4.3.5

系 4.3.5

エルミート行列 \(A, B \in M_n\) を考える。\(B\) が特異で \(\operatorname{rank} B = r\) のとき、次が成り立つ。

λ_i(A + B) ≤ λ_{i+r}(A),  i = 1, …, n − r

等号が成り立つのは、\(\lambda_{n−r}(B) = 0\) かつ非ゼロベクトル \(x\) が存在して次を満たす場合に限る:\(Ax = λ_{i+r}(A)x\)、\(Bx = 0\)、\((A + B)x = λ_i(A + B)x\)。

λ_{i−r}(A) ≤ λ_i(A + B),  i = r + 1, …, n

等号が成り立つのは、\(\lambda_{r+1}(B) = 0\) かつ非ゼロベクトル \(x\) が存在して次を満たす場合に限る:\(Ax = λ_{i−r}(A)x\)、\(Bx = 0\)、\((A + B)x = λ_i(A + B)x\)。もし A の任意の固有ベクトル \(x\) に対して \(Bx = 0\) なら、(4.3.6a,b) の各不等式はすべて厳密な不等式となる。

証明.

(4.3.6a) を確認するために、(4.3.2a) において j = r とし、前の演習結果を用いると次が得られる:

λ_i(A + B) ≤ λ_{i+r}(A) + λ_{n−r}(B) ≤ λ_{i+r}(A)

等号が成り立つのは \(\lambda_{n−r}(B) = 0\) かつ\( j = r\) のとき (4.3.2a) が等号になる場合に限る。同様の議論で、(4.3.6b) は \(j = r + 1\) を用いた (4.3.4b) から従う。

演習.

\(B ∈ M_n\) がエルミートで、正の固有値がちょうど1つ、負の固有値がちょうど1つの場合、なぜ \(\lambda_2(B) ≥ 0\) かつ \(\lambda_{n−1}(B) ≤ 0\) が成り立ち、等号が成り立つのは \(n > 2\) の場合のみか説明せよ。


参考:Matrix Analysis:Second Edition ISBN 0-521-30587-X.(当サイトは公式と無関係です)

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