[行列解析4.3.3]系

4.3.3

系 4.3.3 エルミート行列 \(A, B \in M_n\) を考える。\(B\) が正の固有値をちょうど \(\pi\) 個、負の固有値をちょうど \(\nu\) 個持つとする。このとき次が成り立つ。

λ_i(A + B) ≤ λ_{i+π}(A),  i = 1, …, n − π

等号が成り立つのは、\(B\) が特異であり、非ゼロベクトル \(x\) が存在して次を満たす場合に限る:\(Ax = λ_{i+π}(A)x\)、\(Bx = 0\)、\((A + B)x = λ_i(A + B)x\)。

λ_{i−ν}(A) ≤ λ_i(A + B),  i = ν + 1, …, n

等号が成り立つのは、\(B\) が特異であり、非ゼロベクトル \(x\) が存在して次を満たす場合に限る:\(Ax = λ_{i−ν}(A)x\)、\(Bx = 0\)、\((A + B)x = λ_i(A + B)x\)。

もし \(B\) が正則であるか、あるいは \(A\) の任意の固有ベクトル \(x\) に対して \(Bx = 0\) なら、(4.3.4a,b) の各不等式はすべて厳密な不等式になる。

証明. (4.3.2a) において \(j = n − π\) とし、前の演習結果を用いると次が得られる:

λ_i(A + B) ≤ λ_{i+π}(A) + λ_{n−π}(B) ≤ λ_{i+π}(A)

等号が成り立つのは、\(B\) が特異であり、非ゼロベクトル \(x\) が存在して \(Ax = λ_{i+π}(A)x\)、\(Bx = 0\)、\((A + B)x = λ_i(A + B)x\) を満たす場合に限る。同様の議論で、(4.3.4b) は j = ν + 1 を用いた (4.3.2b) から従う。

演習.

\(B ∈ M_n\) がエルミートかつ特異で \(\operatorname{rank} B = r\) の場合、なぜ \(\lambda_{n−r}(B) ≤ 0\) かつ \(\lambda_{r+1}(B) ≥ 0\) が成り立つかを説明せよ。


参考:Matrix Analysis:Second Edition ISBN 0-521-30587-X.(当サイトは公式と無関係です)

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