4.0.1
例 4.0.1.
関数 \( f : D \to \mathbb{R} \) がある領域 \( D \subset \mathbb{R}^n \) 上で二階連続微分可能であるとする。このとき、実行列
H(x) = [h_{ij}(x)] = 
\left[
\frac{\partial^2 f(x)}{\partial x_i \partial x_j}
\right] 
\in M_n
は \(f\) のヘッセ行列である。これは \(x\) の関数であり、最適化理論において重要な役割を果たす。なぜなら、臨界点が相対最大値か最小値かを判定するために用いることができるからである(参照:7.0)。
ここで注目すべきヘッセ行列 \(H = H(x)\) の性質は、混合二階偏導関数が等しいという事実に基づくものである。すなわち、
\frac{\partial^2 f}{\partial x_i \partial x_j} 
= \frac{\partial^2 f}{\partial x_j \partial x_i} 
\quad \text{for all } i,j = 1, \dots, n
したがって、実値をとる二階連続微分可能関数のヘッセ行列は、常に実対称行列である。
行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

 
  
  
  
  
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