[行列解析3.4.P11]ヴェイア標準形とジョルダン標準形の一致条件

3.標準形と三角因子分解

3.4.P11

3.4.問題11

\(A \in M_n\) を与える。\(A\) のヴェイア標準形とジョルダン標準形が同じであることと、次のいずれかが成り立つことは同値であることを示せ:

  • \(A\) が非退化(nonderogatory)である
  • \(A\) が対角化可能である
  • 行列 \(B,C\) が存在して
    • (a) \(B\) は非退化
    • (b) \(C\) は対角化可能
    • (c) \(B\) と \(C\) は共通の固有値を持たない
    • (d) \(A\) は \(B\oplus C\) に相似である

ヒント

各固有値ごとに考えると、ヴェイア標準形とジョルダン標準形が一致するのは「ジョルダンブロックが1つ」または「すべて1次ブロック」の場合である。前者は非退化、後者は対角化可能に対応する。一般の場合は固有値ごとにこの2つに分解できることを用いる。

解答例

まず、行列 \(A\) のヴェイア標準形とジョルダン標準形が一致するための条件を固有値ごとに考える。固有値 \(\lambda\) に対して、そのジョルダンブロックが1つである場合、またはすべて \(1\times 1\) ブロックである場合に限り一致することが知られている。

したがって、全体として一致するためには、各固有値に対してこのいずれかが成り立つ必要がある。ここで次の2つの部分に分解する。

A \sim B \oplus C

ここで、\(B\) は各固有値に対してジョルダンブロックが1つだけの部分(非退化部分)、\(C\) はすべてのブロックが \(1\times 1\) の部分(対角化可能部分)とする。

このとき \(B\) は非退化であり、\(C\) は対角化可能である。また、同じ固有値について両方に現れることはないため、\(B\) と \(C\) は共通の固有値を持たない。

逆に、このような分解 \( A \sim B \oplus C \) が存在し、\(B\) が非退化、\(C\) が対角化可能で、かつ両者が共通の固有値を持たないとする。このとき、各固有値はどちらか一方にのみ属するため、それぞれの部分ではヴェイア標準形とジョルダン標準形が一致する。したがって直和全体でも一致する。

以上より、ヴェイア標準形とジョルダン標準形が一致することと、

(1) \(A\) が非退化である、または対角化可能である、あるいは

(2) 行列 \(B,C\) が存在して

(a) \(B\) は非退化、(b) \(C\) は対角化可能、(c) 共通固有値なし、(d) \(A \sim B\oplus C\)

が成り立つことは同値である。

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