[行列解析3.3.P15]行列多項式部分代数の構造

3.標準形と三角因子分解

3.3.P15

3.3 問題15

任意の \(A\in M_n\) に対して集合

P(A)=\{ p(A) : p(t)\ \text{は多項式} \}

を考える。\(P(A)\) が \(M_n\) の部分代数(すなわち \(A\) によって生成される部分代数)であることを示せ。また、\(P(A)\) の次元が \(A\) の最小多項式の次数に等しいこと、したがって \(\dim P(A)\le n\) であることを説明せよ。

ヒント

集合 \( P(A) \) が部分代数であることは、加法・スカラー倍・積に関して閉じていることを示せばよい。次元については、最小多項式 \( q_A(t) \) を用いて高次の冪 \( A^k \) を低次の冪で表せることに注目する。

解答例

まず \( P(A)=\{p(A)\mid p(t)\text{は多項式}\} \) が部分代数であることを示す。

任意の多項式 \( p(t),q(t) \) に対して、 \( p(A)+q(A)=(p+q)(A) \)、\( \lambda p(A)=(\lambda p)(A) \) が成り立つので、加法およびスカラー倍に関して閉じている。

また積についても、 \( p(A)q(A)=(pq)(A) \) が成立するので閉じている。したがって \( P(A) \) は \( M_n \) の部分代数である。

次に次元について考える。\( A \) の最小多項式を \( q_A(t)=t^m+b_{m-1}t^{m-1}+\cdots+b_0 \) とする。このとき

q_A(A)=A^m+b_{m-1}A^{m-1}+\cdots+b_0 I=0

が成り立つので、

A^m = -b_{m-1}A^{m-1}-\cdots-b_0 I

となる。したがって任意の多項式 \( p(A) \) は \( I,A,\ldots,A^{m-1} \) の線形結合として表される。

よって \( P(A)=\mathrm{span}\{I,A,\ldots,A^{m-1}\} \) であり、次元は高々 \( m \) である。

さらに最小多項式の定義より、これら \( I,A,\ldots,A^{m-1} \) は線形独立である。もし線形従属であれば、より低次の多項式で \( A \) を消すことができ、最小多項式の次数に矛盾する。

したがって \( \dim P(A)=m \) である。

最後に、最小多項式の次数 \( m \) は \( n \) 以下であるから、 \( \dim P(A)\le n \) が従う。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました