[行列解析3.2.P5]複素行列のジョルダン標準形の求め方

3.標準形と三角因子分解

3.2.P5

3.2問題5

行列 \( A = \begin{bmatrix} i & 1 \\ 1 & -i \end{bmatrix} \) のジョルダン標準形は何ですか?

ヒント

ジョルダン標準形を求めるには、まず固有値を求める。そのために特性多項式 \( \det(A-\lambda I) \) を計算する。

次に各固有値に対する固有ベクトルを求め、幾何学的重複度(固有空間の次元)を調べる。固有値の代数的重複度と幾何学的重複度が一致すれば、その固有値に対応するジョルダンブロックはすべて \(1\times1\) になる。

解答例

与えられた行列

A=\begin{bmatrix}
i & 1 \\
1 & -i
\end{bmatrix}

の固有値を求めるため、特性多項式 \( \det(A-\lambda I) \) を計算する。

\det(A-\lambda I)
=
\begin{vmatrix}
i-\lambda & 1 \\
1 & -i-\lambda
\end{vmatrix}

行列式を計算すると

(i-\lambda)(-i-\lambda)-1

ここで

(i-\lambda)(-i-\lambda)
=
(i)(-i)-i\lambda+\lambda i+\lambda^2
=
1+\lambda^2

したがって特性多項式は

\det(A-\lambda I)=\lambda^2

となる。よって固有値は \( \lambda=0 \) であり、代数的重複度は2である。

次に固有ベクトルを求める。\( \lambda=0 \) を代入すると

A
\begin{bmatrix}
x \\
y
\end{bmatrix}
=
\begin{bmatrix}
0 \\
0
\end{bmatrix}

すなわち

\begin{cases}
ix+y=0 \\
x-iy=0
\end{cases}

第1式より \( y=-ix \) である。これを第2式に代入すると恒等的に成り立つため、固有ベクトルは \( \begin{bmatrix}1\\-i\end{bmatrix} \) の倍数で表される。

したがって固有空間の次元は1であり、幾何学的重複度は1である。

代数的重複度は2であるが幾何学的重複度は1であるため、ジョルダンブロックは \(2\times2\) のものが1つになる。

したがってジョルダン標準形は

J=
\begin{bmatrix}
0 & 1 \\
0 & 0
\end{bmatrix}

である。


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