3.1.P25
3.1問題25
定理(3.1.11)
\(A \in M_n\) が与えられているとする。このとき、正則行列 \(S \in M_n\)、正の整数 \(q\) および \(n_1, \ldots, n_q\) (ただし \(n_1 + n_2 + \cdots + n_q = n\))、さらにスカラー \(\lambda_1, \ldots, \lambda_q \in \mathbb{C}\) が存在して、次が成り立つ。
(3.1.12)A = S \begin{bmatrix} J_{n_1}(\lambda_1) & & \\ & \ddots & \\ & & J_{n_q}(\lambda_q) \end{bmatrix} S^{-1}
定理(3.1.11) を用いて、\( A \in M_n \) が対角化可能であるための必要十分条件は、各固有値 \( \lambda \) に対して次が成り立つことであることを示せ:
x \in \mathbb{C}^n, \quad \\
(A - \lambda I)^2 x = 0 \implies (A - \lambda I)x = 0
ヒント
定理 \( (3.1.11) \) により、任意の行列 \(A\) はジョルダン標準形に相似である。すなわち \(A = SJS^{-1}\) と書け、ここで \(J\) はジョルダンブロックの直和である。
\(A\) が対角化可能であるとは、すべてのジョルダンブロックの大きさが \(1\) であることと同値である。もし大きさ \(2\) 以上のジョルダンブロックが存在すると、そのブロックに対して \((A-\lambda I)^2x=0\) であるが \((A-\lambda I)x\neq0\) となるベクトルが存在する。
したがって条件 \( (A-\lambda I)^2x=0 \Rightarrow (A-\lambda I)x=0 \) がすべての固有値について成り立つことは、ジョルダンブロックの大きさがすべて \(1\) であること、すなわち \(A\) が対角化可能であることと同値になる。
解答例
定理 \( (3.1.11) \) により、行列 \(A\) に対して正則行列 \(S\) が存在し、
A = SJS^{-1}
と書ける。ここで \(J\) はジョルダン標準形であり、
J =
\begin{bmatrix}
J_{n_1}(\lambda_1) & & \\
& \ddots & \\
& & J_{n_q}(\lambda_q)
\end{bmatrix}
である。
まず \(A\) が対角化可能であると仮定する。このときすべてのジョルダンブロックの大きさは \(1\) であるため、
J = \mathrm{diag}(\lambda_1,\ldots,\lambda_n)
となる。
このとき
(A-\lambda I)^2
=
S(J-\lambda I)^2S^{-1}
である。対角行列では各成分ごとに計算できるため、 \((A-\lambda I)^2x=0\) ならば必ず \((A-\lambda I)x=0\) が成り立つ。
次に逆を示す。すべての固有値 \( \lambda \) に対して
(A-\lambda I)^2x=0 \Rightarrow (A-\lambda I)x=0
が成り立つと仮定する。
もし大きさ \(2\) 以上のジョルダンブロック \(J_m(\lambda)\) が存在するとする。このブロックでは
J_m(\lambda)-\lambda I =
\begin{bmatrix}
0 & 1 & & \\
& 0 & \ddots & \\
& & \ddots & 1 \\
& & & 0
\end{bmatrix}
となる。このとき適当なベクトル \(x\) を取ると
(J_m(\lambda)-\lambda I)^2x = 0
であるが
(J_m(\lambda)-\lambda I)x \neq 0
となるベクトルが存在する。これは仮定に反する。
したがってすべてのジョルダンブロックの大きさは \(1\) である。よって \(J\) は対角行列となり、\(A\) は対角化可能である。
以上より、\(A\) が対角化可能であることと、各固有値 \( \lambda \) に対して \((A-\lambda I)^2x=0 \Rightarrow (A-\lambda I)x=0\) が成り立つことは同値である。
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