[行列解析3.1.P17]行列が逆行列と相似となる条件

3.標準形と三角因子分解

3.1.P17

3.1問題17

\( A \in M_n \) が正則であると仮定する。

\( A \) が \( A^{-1} \) と相似であることと、\( A \) の固有値 λ について λ ≠ ±1 の場合に、ジョルダン標準形における \( J_k(\lambda) \) 型ブロックの数が \( J_k(\lambda^{-1}) \) 型ブロックの数と等しいことは同値であることを示せ。

すなわち、λ ≠ ±1 の場合にはブロック \( J_k(\lambda) \) と \( J_k(\lambda^{-1}) \) が対になって現れる(固有値が ±1 の場合のブロックには制約はない)。

ヒント

\(A\) が正則ならば、\(A\) と \(A^{-1}\) の固有値はそれぞれ \( \lambda \) と \( \lambda^{-1} \) で対応する。

また、ジョルダンブロックについては \( J_k(\lambda)^{-1} \) のジョルダン標準形が \( J_k(\lambda^{-1}) \) になることを用いる。

相似であるためにはジョルダン標準形が一致することが必要十分である。

解答例

\(A\in M_n\) を正則とする。 まず、\(A\) のジョルダン標準形を

A \sim \bigoplus_{\lambda}\bigoplus_{k} J_k(\lambda)^{\,m_{k,\lambda}}

と書く。ただし \(m_{k,\lambda}\) は固有値 \(\lambda\) に対する大きさ \(k\) のジョルダンブロックの個数である。

正則性より、すべての固有値は 0 ではない。 このとき各ブロックについて

J_k(\lambda)^{-1} \sim J_k(\lambda^{-1})

が成り立つ。したがって

A^{-1} \sim \bigoplus_{\lambda}\bigoplus_{k} J_k(\lambda^{-1})^{\,m_{k,\lambda}}

である。

(⇒) いま \(A\) が \(A^{-1}\) と相似であると仮定する。 相似な行列はジョルダン標準形が一致するので、各固有値と各サイズについてブロックの個数が一致する。

特に \(\lambda\neq\pm1\) のとき \(\lambda\neq\lambda^{-1}\) であるから、 固有値 \(\lambda\) に属するブロックの個数は、\(A^{-1}\) における固有値 \(\lambda\) のブロックの個数に等しい。 しかし \(A^{-1}\) における固有値 \(\lambda\) のブロックは、\(A\) における固有値 \(\lambda^{-1}\) のブロックから生じる。

よって

m_{k,\lambda}=m_{k,\lambda^{-1}}

が成り立つ。すなわち \(J_k(\lambda)\) と \(J_k(\lambda^{-1})\) は同数現れる。

(⇐) 逆に、\(\lambda\neq\pm1\) に対して

m_{k,\lambda}=m_{k,\lambda^{-1}}

がすべての \(k\) について成り立つと仮定する。 このとき \(A\) のジョルダン標準形と \(A^{-1}\) のジョルダン標準形を比較すると、 \(\lambda\neq\pm1\) の部分ではブロックが対になって一致する。

一方、\(\lambda=\pm1\) の場合は \(\lambda=\lambda^{-1}\) であるから、 ブロックの個数に特別な制約はなく、そのまま一致する。

したがって両者のジョルダン標準形は一致し、

A \sim A^{-1}

が成り立つ。

以上より、\(A\) が \(A^{-1}\) と相似であることと、 \(\lambda\neq\pm1\) に対して \(J_k(\lambda)\) と \(J_k(\lambda^{-1})\) が同数現れることは同値である。


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