[行列解析3.1.P15]階数1行列のジョルダン標準形

3.標準形と三角因子分解

3.1.P15

3.1問題15

\(n\ge 2\)、非ゼロベクトル \(x,y\in\mathbb{C}^n\) を与え、\(A=xy^\ast\) とする。

(a) \(A\) のジョルダン標準形は \(B\oplus 0_{n-2}\) であり、もし \(y^\ast x \neq 0\) なら

B=\begin{bmatrix} y^\ast x & 0 \\ 0 & 0 \end{bmatrix}

であり、\(y^\ast x=0\) の場合は \(B=J_2(0)\) となることを示せ。

(b) 階数1の行列が対角化可能であるのは、そのトレースが非ゼロである場合のみであることを説明せよ。

ヒント

\(A=xy^\ast\) は階数 1 の行列である。

まず \(A^2=(y^\ast x)A\) が成り立つことを計算せよ。

この関係から最小多項式を決定し、固有値とジョルダンブロックの大きさを調べる。

解答例

(a) まず \(A=xy^\ast\) とすると

A^2
=xy^\ast xy^\ast
=(y^\ast x)xy^\ast
=(y^\ast x)A

が成り立つ。

よって最小多項式は

t^2-(y^\ast x)t
=t(t-y^\ast x)

を割る。

また \(\operatorname{rank}(A)=1\) であるから、固有値 0 の重複度は少なくとも \(n-1\) である。

まず \(y^\ast x\neq0\) の場合を考える。このとき固有値は

\lambda_1=y^\ast x,\qquad \lambda_2=0

であり、\(A^2=(y^\ast x)A\) から最小多項式は重根をもたない。 したがって \(A\) は対角化可能であり、ジョルダン標準形は

B\oplus 0_{n-2},
\qquad
B=
\begin{bmatrix}
y^\ast x & 0 \\
0 & 0
\end{bmatrix}

となる。

次に \(y^\ast x=0\) の場合を考える。このとき

A^2=0,\qquad A\neq0

であるから、最小多項式は \(t^2\) である。 したがって固有値 0 に対して大きさ 2 のジョルダンブロックが 1 個存在する。 よってジョルダン標準形は

J_2(0)\oplus 0_{n-2}

となる。

(b) 階数 1 の行列 \(A\) は上と同様に \(A=xy^\ast\) と書ける。 そのトレースは

\operatorname{tr}(A)=y^\ast x

である。

\(y^\ast x\neq0\) のときは (a) より対角化可能である。 一方 \(y^\ast x=0\) のときは最小多項式が \(t^2\) となり、ジョルダンブロック \(J_2(0)\) を含むため対角化できない。

したがって階数 1 の行列が対角化可能であるのは、そのトレースが非ゼロの場合に限る。


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