[行列解析3.1.P13]ブロック・ジョルダン行列のWeyr特性

3.標準形と三角因子分解

3.1.P13

3.1問題13

正の整数 \(k,m\) を与え、次のブロック・ジョルダン行列を考える。

\begin{aligned}
&J_k^+(\lambda I_m)
:= 
&\begin{bmatrix}
\lambda I_m & I_m & 0 & \dots & 0 \\
0 & \lambda I_m & I_m & \dots & 0 \\
\vdots & & \ddots & \ddots & \vdots \\
0 & \dots & 0 & \lambda I_m & I_m \\
0 & \dots & 0 & 0 & \lambda I_m
\end{bmatrix}\in M_{km} \notag
\end{aligned}

この行列 \(J_k^+(\lambda I_m)\) の Weyr 特性を計算し、それを用いて、この行列のジョルダン標準形が \(J_k(\lambda)\oplus\cdots\oplus J_k(\lambda)\)(\(m\) 個の直和)であることを示せ。

ヒント

\(J_k^+(\lambda I_m)-\lambda I_{km}\) は、対角に 0、1つ上のブロック対角に \(I_m\) をもつ冪零行列である。

その冪を計算すると、\((A-\lambda I)^r\) は第 \(r\) 個上のブロック対角に \(I_m\) をもつ形になる。

階数を求めれば \(r_k=\operatorname{rank}(A-\lambda I)^k\) がわかり、そこから \(w_k=r_{k-1}-r_k\) を計算できる。

解答例

\(A=J_k^+(\lambda I_m)\) とおく。 まず

A-\lambda I_{km}
=
\begin{bmatrix}
0 & I_m & 0 & \dots & 0 \\
0 & 0 & I_m & \dots & 0 \\
\vdots & & \ddots & \ddots & \vdots \\
0 & \dots & 0 & 0 & I_m \\
0 & \dots & 0 & 0 & 0
\end{bmatrix}

となる。これはブロック上三角の冪零行列である。

この \(r\) 乗は、第 \(r\) 個上のブロック対角に \(I_m\) をもち、それ以外は 0 となる。 したがって

(A-\lambda I_{km})^r

の階数は、非零ブロックの個数に \(m\) を掛けたものになる。

第 \(r\) 乗では非零ブロックは \(k-r\) 個であるから、

r_r=\operatorname{rank}(A-\lambda I)^r
= m(k-r)
\quad (0\le r\le k)

であり、\(r\ge k\) では 0 である。

よって Weyr 特性は

w_r=r_{r-1}-r_r
= m(k-(r-1)) - m(k-r)
= m
\quad (1\le r\le k)

であり、\(r\gt k\) では 0 である。

したがって

w_1=w_2=\dots=w_k=m

となる。

Ferrers図では各行に \(m\) 個の点が並び、それが \(k\) 行続く。 したがって列の長さ(Segre特性)は

s_1=s_2=\dots=s_m=k

であり、これは大きさ \(k\) のジョルダンブロックが \(m\) 個存在することを意味する。

よってジョルダン標準形は

J_k(\lambda)\oplus\cdots\oplus J_k(\lambda)
\quad (m\text{ 個})

となることがわかる。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました