[行列解析0.4.3]RREF とランク

0.行列基礎

0.4.3 RREF とランク

初等行操作は行列のランクを変えないため、\( A \) のランクは \( A \) の簡約階段行列(RREF)のランクと同じです。

RREF のランクは非ゼロ行の数に等しいです。

ただし、実務上、数値計算でRREFを求めてランクを判定するのは注意が必要です。中間計算での丸め誤差により、ゼロ行が非ゼロ行と誤認され、ランクの判定に影響を及ぼすことがあります。

RREF(簡約行階段形)とは

RREFは、連立一次方程式を解くために用いられる、行列を操作して得られる標準的な形の一つです。

任意の行列を、行基本変形と呼ばれる操作を有限回行うことによって、RREFに変換することができます。この変換された形から、もとの連立方程式の解を容易に求めることができます。

RREFの満たすべき条件

行列 \(A\) がRREFであるためには、以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。

  • ゼロ行に関する条件: すべての成分が \(0\) である行(ゼロ行)は、ゼロでない成分を持つ行の下に配置されている。
  • 主成分(Leading Entry)に関する条件:
    • ゼロ行でない行の、左から見て最初のゼロでない成分をその行の主成分と呼びます。
    • 主成分は必ず \(1\)でなければなりません。
  • 主成分の位置に関する条件:
    • ある行の主成分\(1\) よりも下にある行の主成分は、必ずそれよりも右側の列になければならない。
  • 主成分の列に関する条件:
    • 主成分 \(1\) が存在する列では、その \(1\) 以外のすべての成分は \(0\) でなければならない。

行基本変形(Row Operations)

行列をRREFに変換するために使用する、可逆な操作は以下の3つです。

  1. 行の入れ替え (\(R_i \leftrightarrow R_j\)): 任意の2つの行 \(i\) と \(j\) を入れ替える。
  2. 定数倍 (\(k R_i \to R_i\)): ある行 \(i\) を、ゼロではないスカラー \(k\) 倍する。
  3. 他の行の定数倍を加える (\(R_i + k R_j \to R_i\)): ある行 \(j\) のスカラー \(k\) 倍を別の行 \(i\) に加える。

RREFの例

例 1: RREFである行列

以下の行列 \(A\) はRREFです。

A = 
 \begin{bmatrix}
  1 & 0 & 5 & 0 \\
  0 & 1 & 2 & 0 \\
  0 & 0 & 0 & 1 \\
  0 & 0 & 0 & 0
\end{bmatrix}

すべての主成分が 1 で、その上下の成分が 0 であり、ゼロ行が一番下にあり、階段状になっています。

例 2: RREFではない行列(主成分が1でない)

以下の行列 B はRREFではありません。
(2行目の主成分が 2 のためRREFではない。)

B = 
 \begin{bmatrix}
  1 & 0 & 0 \\
  0 & 2 & 0 \\
  0 & 0 & 0
\end{bmatrix}

例 3: RREFではない行列(主成分の列に0以外の成分がある)

以下の行列 C はRREFではありません。
(2列目(主成分の列)に 5 があるためRREFではない)

C = 
 \begin{bmatrix}
  1 & 0 & 3 \\
  0 & 1 & 2 \\
  0 & 5 & 0
\end{bmatrix}




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