[行列解析7.7.16]定理:正定値行列に関する正半定値かつ特異なブロック行列の構成

7.7.16 正定値行列に関する正半定値かつ特異なブロック行列の構成

定理 7.7.16

A ∈ M_n を正定値行列とする。次の行列は正半定値かつ特異である:

\text{(a)} \quad 
\begin{bmatrix} A & X \\ X^* & X^* A^{-1} X \end{bmatrix}, \quad X \in M_{n,m}
\text{(b)} \quad 
\begin{bmatrix} A & I_n \\ I_n & A^{-1} \end{bmatrix}
\text{(c)} \quad 
\begin{bmatrix} A & A \\ A & A \end{bmatrix}

証明

(7.7.9) を用いる。各場合について、ブロック行列

\begin{bmatrix} A & B \\ B^* & C \end{bmatrix}

について、A が非特異かつ C = B^* A^{-1} B であることを確認する。

\text{(a)} \quad X^* A^{-1} X - X^* A^{-1} X = 0

(b) は (a) において X = I_n とすればよい。
(c) は (a) において X = A とすればよい。

演習

A \succeq 0 のとき、次を示せ:

\begin{bmatrix} A & A \\ A & A \end{bmatrix} \succeq 0

ヒント:S

S = A^{1/2} \oplus A^{1/2}, \quad 
\begin{bmatrix} I & I \\ I & I \end{bmatrix} = S S^*

正半定値行列のアダマール積に関する多くの不等式は、適切な正半定値 2×2 ブロック行列のアダマール積を考えることで導かれる。(7.5.3) により、これらの積は正半定値であることが保証される。この手法の例が次の定理で示される。


行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました