7.6.問題8
7.6.P8.
\(C \in M_n\) をエルミートとし、\(C = A + iB\)(\(A, B \in M_n(\mathbb{R})\))と書く。もし \(C\) が正定値ならば、\(|\det B| \lt \det A\) かつ \(\det C \le \det A\) が成り立つことを示せ。詳細は次の通り:
(a) \(A\) が対称、\(B\) が斜対称であることを確認せよ。従って \(B\) の固有値は純虚数で共役ペアで現れる。
(b) \(C\) が正定値であるのは、\(A\) が正定値かつ \(i A^{-1} B\) の固有値がすべて \(-1\) より大きい場合に限ることを示せ。
(c) \(A\) が正定値ならば、\(i A^{-1}B\) の固有値は 0 か ±ペアで現れることを示せ。
(d) \(C\) が正定値ならば、\(A\) は正定値、\(i A^{-1} B\) の固有値は区間 \((-1,1)\) 内にあり、固有値は 0 か ±ペアで現れる。
(e) \(C\) が正定値ならば、\(|\det i A^{-1} B| \lt 1\) かつ \(|\det B| \lt \det A\) が成立。これは H. P. Robertson の不等式である。
(f) \(C\) が正定値ならば、\(\det C = \det A \det(I + i A^{-1} B)\)。なぜ \(0 \lt \det(I + i A^{-1} B) \le 1\) であり、等号成立は \(B = 0\) の場合に限るか?
(g) \(C\) が正定値ならば、\(\det C \le \det A\) であり、等号成立は \(B = 0\) の場合に限る。これは O. Taussky の不等式である。(7.8.19) と (7.8.24) で一般化されている。
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