6.3.10
次の補題は、行列 \( A \in M_n \) の単純固有値に対応する右・左固有ベクトルの性質と、それを用いたブロック分解の存在を示している。
補題 6.3.10. \( \lambda \) を \( A \in M_n \) の単純固有値とし、\( x \) および \( y \) をそれぞれ \( \lambda \) に対応する右固有ベクトルおよび左固有ベクトルとする。このとき次が成り立つ。
(a) \( y^{*}x \ne 0 \)
(b) 次を満たす正則行列 \( S \in M_n \) が存在する。
S = [\, x \; S_{1} \,], \quad S^{-*} = \begin{bmatrix} y \\ x^{*}y \; Z_{1} \end{bmatrix}, \quad S_{1}, Z_{1} \in M_{n, n-1},
このとき、行列 \( A \) は次のようにブロック対角化できる:
A = S \begin{bmatrix} \lambda & 0 \\ 0 & A_{1} \end{bmatrix} S^{-1}
ここで \( A_{1} \in M_{n-1} \) は、\( \lambda \) を固有値に持たない行列である。
行列解析の総本山

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