5.4.8
系 5.4.8. \( V = F^n \) (ただし \( F = \mathbb{R} \) または \( \mathbb{C} \))とし、\( f(\cdot) \) を \( V \) 上のプレノルムまたはノルムとする。このとき、集合 \(\{x : f(x) \leq 1\}\) および \(\{x : f(x) = 1\}\) はコンパクトである。
証明. ユークリッドノルムに関して、それぞれの集合が閉かつ有界であることを示せば十分である。定理 5.4.4 により、有限の定数 \( C \gt 0 \) が存在して、すべての \( x \in V \) に対して
\|x\|_{2} \leq C f(x)
が成り立つ。したがって、集合 \(\{x : f(x) \leq 1\}\) および \(\{x : f(x) = 1\}\) は、原点を中心とする半径 \( C \) のユークリッド球に含まれる。また、\( f(\cdot) \) は連続であるため、\(\{x : f(x) = 1\}\) および \(\{x : f(x) \leq 1\}\) は閉集合である。ゆえに両集合はコンパクトである。■
我々はしばしば、与えられた数列 \(\{x^{(k)}\}\) が何かに収束するのかどうかという問題に直面する。このため、数列の極限(もし存在すれば)を明示的に用いない収束判定基準を持つことが重要である。仮に極限 \( x \) が存在するとすると、次が成り立つ:
\|x^{(k)} - x^{(j)}\| \\ = \| (x^{(k)} - x) + (x - x^{(j)}) \| \\ \leq \|x^{(k)} - x\| + \|x - x^{(j)}\| \to 0
ここで \( k, j \to \infty \) のとき、右辺は 0 に収束する。この考察が、次に述べる収束判定の動機となる。
行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。
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