[行列解析3.2.P7]条件 (A^3=I) を満たす行列のジョルダン形

3.標準形と三角因子分解

3.2.P7

3.2問題7

\( A^3 = I \) を満たす \( A \in M_n \) の可能なジョルダン形は何ですか?

ヒント

条件 \( A^3=I \) を満たすとき、任意の固有値 \( \lambda \) は \( \lambda^3=1 \) を満たす必要がある。したがって固有値は 3 次単位根になる。

さらに、ジョルダンブロックの大きさを考えるには多項式 \( x^3-1 \) の重根の有無を調べる。重根がなければ、非自明なジョルダンブロックは現れない。

解答例

行列 \( A \) が \( A^3=I \) を満たすとする。このとき \( A \) は多項式 \( x^3-1 \) を満たす。

A^3-I=0

したがって \( A \) の最小多項式は \( x^3-1 \) を割り切る。

まず多項式を因数分解すると

x^3-1=(x-1)(x^2+x+1)

さらに \( x^2+x+1=0 \) の解は

\omega=\frac{-1+i\sqrt{3}}{2},
\quad
\omega^2=\frac{-1-i\sqrt{3}}{2}

であり、これらは 3 次単位根である。したがって \( A \) の固有値は

1,\quad \omega,\quad \omega^2

のいずれかである。

次にジョルダンブロックの大きさを調べる。多項式 \( x^3-1 \) の導関数は \( 3x^2 \) であり、共通因子を持たないので \( x^3-1 \) は重根を持たない。

したがって最小多項式は重根を含まず、ジョルダンブロックはすべて \(1\times1\) になる。

以上より、行列 \( A \) は対角化可能であり、そのジョルダン標準形は

J=\mathrm{diag}(
\underbrace{1,\dots,1}_{k},
\underbrace{\omega,\dots,\omega}_{\ell},
\underbrace{\omega^2,\dots,\omega^2}_{m}
)

ただし \( k+\ell+m=n \) である。


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