[行列解析3.1.P28]相似行列と固有値ランク条件の同値性

3.標準形と三角因子分解

3.1.P28

3.1問題28

\( A, B \in M_n \) とする。\( A \) と \( B \) が相似であることと、すべての固有値 \( \lambda \) と \( k = 1, \ldots, n \) に対して

r_k(A, \lambda) = r_k(B, \lambda)

が成り立つことが同値であることを示せ。

ヒント

行列 \(A\) と \(B\) が相似であるとは、可逆行列 \(P\) が存在して \(B=P^{-1}AP\) と書けることである。このとき \(A-\lambda I\) と \(B-\lambda I\) も同様に相似になる。

一般に、相似な行列は同じ階数をもつ。したがって \(A-\lambda I\) と \(B-\lambda I\) の階数は一致する。

逆に、すべての固有値 \( \lambda \) と整数 \(k=1,\ldots,n\) に対して \(\mathrm{rk}(A-\lambda I)^k=\mathrm{rk}(B-\lambda I)^k\) が成り立つとき、これは各固有値に対するジョルダンブロックの大きさが一致することを意味する。したがって \(A\) と \(B\) のジョルダン標準形は一致し、両者は相似であることが従う。

解答例

まず \(A\) と \(B\) が相似であると仮定する。このとき可逆行列 \(P\) が存在して \(B=P^{-1}AP\) が成り立つ。

B-\lambda I
=
P^{-1}AP-\lambda I
=
P^{-1}(A-\lambda I)P

したがって \(A-\lambda I\) と \(B-\lambda I\) は相似である。相似な行列は階数が一致するため、

{r_k}(A-\lambda I)^k
=
{r_k}(B-\lambda I)^k

がすべての \( \lambda \) と \(k=1,\ldots,n\) に対して成り立つ。

次に逆を示す。すべての固有値 \( \lambda \) と \(k=1,\ldots,n\) に対して

{r_k}(A-\lambda I)^k
=
{r_k}(B-\lambda I)^k

が成り立つと仮定する。

一般に、行列 \(A\) をジョルダン標準形に直すと、固有値 \( \lambda \) に対応するジョルダンブロックのサイズは

\dim \ker (A-\lambda I)^k

の増え方によって決定される。ここで

\dim \ker (A-\lambda I)^k
=
n-{r_k}(A-\lambda I)^k

であるから、仮定より

\dim \ker (A-\lambda I)^k
=
\dim \ker (B-\lambda I)^k

がすべての \(k\) について一致する。

したがって各固有値に対するジョルダンブロックの個数と大きさが \(A\) と \(B\) で一致する。ゆえに両行列のジョルダン標準形は一致する。

ジョルダン標準形が一致する行列は相似であるから、\(A\) と \(B\) は相似である。

以上より、\(A\) と \(B\) が相似であることと、すべての固有値 \( \lambda \) と \(k=1,\ldots,n\) に対して \({r_k}(A-\lambda I)^k={r_k}(B-\lambda I)^k\) が成り立つことは同値である。


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