[行列解析3.1.P27]正規行列がユニタリ対角化可能であること

3.標準形と三角因子分解

3.1.P27

3.1問題27

\( A \in M_n \) が正規行列であるとする。

前問および QR 分解 (2.1.14) を用いて、\( A \) がユニタリ対角化可能であることを示せ。

定理 2.1.14 (QR分解)

\( A \in M_{n,m} \) とする。

(a) \( n \geq m \) のとき、直交正規な列をもつ \( Q \in M_{n,m} \) と、対角成分が非負の上三角行列 \( R \in M_m \) が存在して、

 A = QR 

(b) \(\mathrm{rank}(A) = m\) のとき、(a)の分解に現れる \( Q \) と \( R \) は一意に定まり、\( R \) の対角成分はすべて正である。

(c) \( m = n \) のとき、(a)に現れる \( Q \) はユニタリ行列である。

(d) ユニタリ行列 \( Q \in M_n \) と、対角成分が非負の上三角行列 \( R \in M_{n,m} \) が存在して、

 A = QR 

 

ヒント

前問より、正規行列 \(A\) は対角化可能であることが分かっている。したがって、ある正則行列 \(S\) が存在して \(S^{-1}AS\) は対角行列となる。

QR分解を用いると、任意の正則行列 \(S\) を \(S=QR\)(\(Q\) はユニタリ行列、\(R\) は上三角行列)と書くことができる。この分解を対角化表示に代入し、さらに正規行列の性質を利用すると、上三角行列が実際には対角行列であることが分かる。

これにより、ユニタリ行列による対角化が得られることを示せばよい。

解答例

\(A \in M_n\) を正規行列とする。すなわち \(AA^* = A^*A\) が成り立つ。

前問より、正規行列 \(A\) は対角化可能である。したがって、ある正則行列 \(S\) が存在して

S^{-1}AS = \Lambda

と書ける。ただし \( \Lambda \) は対角行列である。

ここで定理 2.1.14(QR分解)より、正則行列 \(S\) は

S = QR

と分解できる。ただし \(Q\) はユニタリ行列、\(R\) は上三角行列である。

これを上式に代入すると

(QR)^{-1}A(QR) = \Lambda

であるから

R^{-1}Q^*AQ R = \Lambda

となる。

ここで \( B = Q^*AQ \) とおくと、ユニタリ行列による相似変換であるから \(B\) も正規行列である。

R^{-1}BR = \Lambda

すなわち

BR = R\Lambda

が成り立つ。

ここで \(R\) は上三角行列であり、\( \Lambda \) は対角行列である。この関係式から \(B\) は上三角行列であることが分かる。

一方、\(B\) は正規行列でもある。正規行列で上三角である行列は対角行列であることが知られている。

B = Q^*AQ

は対角行列となる。

したがって

Q^*AQ = D

となる対角行列 \(D\) が存在する。

これは

A = QDQ^*

と書けることを意味する。すなわち \(A\) はユニタリ行列 \(Q\) によって対角化される。

よって正規行列 \(A\) はユニタリ対角化可能である。

 


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