0.8.11 ドッジソンの恒等式(Dodgson’s identity)
行列 \( A \in \mathbb{M}_n(F) \) を考えます。次のように定義します。
- \( a = \det A[\{n\}^c] \):行列 \( A \) の \( n \) 行を除いた部分行列の行列式
- \( b = \det A[\{n\}^c, \{1\}^c] \):行列 \( A \) の \( n \) 行と \( 1 \) 列を除いた部分行列の行列式
- \( c = \det A[\{1\}^c, \{n\}^c] \):行列 \( A \) の \( 1 \) 行と \( n \) 列を除いた部分行列の行列式
- \( d = \det A[\{1\}^c] \):行列 \( A \) の \( 1 \) 行を除いた部分行列の行列式
- \( e = \det A[\{1, n\}^c] \):行列 \( A \) の \( 1 \) 行と \( n \) 行を除いた部分行列の行列式
ただし、\( e \neq 0 \) とすると、
\det A = \frac{ad - bc}{e}
という関係が成り立ちます。これがドッジソンの恒等式です。
行列解析の総本山

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