0.4.2 ランクと線形方程式系
行列 \( A \in M_{m,n}(F) \) とベクトル \( b \in F^n \) が与えられたとき、線形方程式系 \( Ax = b \) は解なし、ただ一つの解、または無限に多くの解を持ちます。この3通りのみが可能です。少なくとも1つ解があればその系は整合的(consistent)であり、解がなければ非整合的(inconsistent)です。線形系 \( Ax = b \) が整合的であることは、
\operatorname{rank} [A \ b] = \operatorname{rank} A
であることと同値です。ここで、行列 \( [A \ b] \in M_{m, n+1}(F) \) は拡大係数行列と呼ばれます。拡大係数行列と係数行列 \( A \) が同じランクを持つとは、\( b \) が \( A \) の列の線形結合で表せることを意味します。この場合、\( b \) を列として追加してもランクは増加しません。線形系の解は、\( b \) を \( A \) の列の線形結合として表したときの係数ベクトル \( x \) です。
行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。
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