[行列解析3.1.P9]冪零ジョルダン行列の二乗の標準形

3.標準形と三角因子分解

3.1.P9

3.1問題9

\(n\ge 3\) とする。\(J_n(0)^2\) のジョルダン標準形を求めよ。\(n=2m\)(偶数)のとき \(J_m(0)\oplus J_m(0)\)、\(n=2m+1\)(奇数)のとき \(J_{m+1}(0)\oplus J_m(0)\) になることを示せ。

ヒント

\(J_n(0)\) は上三角で対角が 0、上に 1 が並ぶ冪零行列である。\((J_n(0))^2\) は2つ上の対角線に1が並ぶ形になる。基底を奇数番目と偶数番目に分けて並べ替えると、2つの鎖に分解できることに注目する。

解答例

\(J_n(0)\) を標準基底 \(e_1,\ldots,e_n\) に関して

J_n(0)e_i =
\begin{cases}
e_{i-1} & (i\ge2)\\
0 & (i=1)
\end{cases}

とする。このとき

J_n(0)^2 e_i =
\begin{cases}
e_{i-2} & (i\ge3)\\
0 & (i=1,2)
\end{cases}

である。すなわち2つずつ下がる作用をする。

ここで基底を 奇数番目のベクトル \(e_1,e_3,e_5,\ldots\) と 偶数番目のベクトル \(e_2,e_4,e_6,\ldots\) に分ける。

奇数部分空間では

e_{2k+1} \mapsto e_{2k-1}

となり、偶数部分空間でも同様に

e_{2k+2} \mapsto e_{2k}

となる。したがって \(J_n(0)^2\) はこの2つの部分空間の直和に分解され、それぞれがジョルダン鎖をなす。

\(n=2m\)(偶数)のとき、奇数番目は \(m\) 個、偶数番目も \(m\) 個であるから、ジョルダンブロックはそれぞれ大きさ \(m\) となる。よって

J_n(0)^2
\sim
J_m(0)\oplus J_m(0)

である。

\(n=2m+1\)(奇数)のとき、奇数番目は \(m+1\) 個、偶数番目は \(m\) 個である。したがってブロックの大きさはそれぞれ \(m+1\) と \(m\) となる。よって

J_n(0)^2
\sim
J_{m+1}(0)\oplus J_m(0)

である。


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