[行列解析3.1.P5]ジョルダンブロックの固有空間

3.標準形と三角因子分解

3.1.P5

3.1問題5

各ジョルダンブロック \(J_k(\lambda)\) は固有値 \(\lambda\) に対して一次元の固有空間をもつことを説明せよ。これより、\(\lambda\) の幾何学的重複度は 1、代数的重複度は \(k\) であると結論づけよ(\(\lambda\) を \(J_k(\lambda)\) の固有値とみなす)。

ヒント

ジョルダンブロック \(J_k(\lambda)\) に対して、固有ベクトルは \((J_k(\lambda)-\lambda I)x=0\) を満たすベクトルである。この行列は対角成分が 0、上対角成分が 1 の行列になるので、その連立一次方程式を具体的に解けばよい。

特性多項式は上三角行列であることを利用して求められる。対角成分がすべて \(\lambda\) であることに注意する。

解答例

\(k\) 次のジョルダンブロック \(J_k(\lambda)\) は

J_k(\lambda)
=
\begin{bmatrix}
\lambda & 1 &        & 0 \\
        & \lambda & \ddots &   \\
        &        & \ddots & 1 \\
0       &        &        & \lambda
\end{bmatrix}

である。

まず固有空間を求める。\(\lambda\) に対応する固有ベクトルは

(J_k(\lambda)-\lambda I)x=0

を満たすベクトル \(x=(x_1,\dots,x_k)^{\top}\) である。

ここで \(J_k(\lambda)-\lambda I\) は

\begin{bmatrix}
0 & 1 &        & 0 \\
  & 0 & \ddots &   \\
  &   & \ddots & 1 \\
0 &   &        & 0
\end{bmatrix}

となる。この行列を \(x\) に作用させると、連立方程式

x_2 = 0 \\
x_3 = 0 \\
\vdots \\
x_k = 0

が得られる。したがって自由変数は \(x_1\) のみであり、固有ベクトルは

x = (x_1,0,\dots,0)^{\top}

の形をしている。よって固有空間は \(\operatorname{span}\{(1,0,\dots,0)^{\top}\}\) であり、一次元である。したがって \(\lambda\) の幾何学的重複度は 1 である。

次に代数的重複度を求める。\(J_k(\lambda)\) は上三角行列であり、対角成分はすべて \(\lambda\) である。したがって特性多項式は

\chi_{J_k(\lambda)}(t)
=
(t-\lambda)^k

となる。よって \(\lambda\) の代数的重複度は \(k\) である。

以上より、ジョルダンブロック \(J_k(\lambda)\) において、固有値 \(\lambda\) の幾何学的重複度は 1、代数的重複度は \(k\) である。


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