[行列解析3.1.P29]特定の上三角行列がジョルダンブロックに相似

3.標準形と三角因子分解

3.1.P29

3.1問題29

\( A \in M_k \) が上三角行列であり、各 \( i = 1, \ldots, n \) に対して \( a_{ii} = 1 \)、各 \( i = 1, \ldots, n-1 \) に対して \( a_{i,i+1} \neq 0 \) とする。

このとき \( A \) が \( J_k(1) \) に相似であることを示せ。

\begin{bmatrix}
1 & a_{12} & * & * & *\\
0 & 1 & a_{23}  & * & *\\
0 & 0 & 1 & a_{34}  & * \\
0 & 0 & 0 & 1 & a_{45} \\
0 & 0 & 0 & 0 & 1  \\
\end{bmatrix}

ヒント

行列 \(A\) は上三角行列であり、対角成分がすべて \(1\) であるので、固有値は \(1\) のみである。また \(N = A - I\) とおくと、\(N\) は対角成分がすべて \(0\) の上三角行列となる。

さらに仮定より \(a_{i,i+1} \neq 0\) であるから、\(N\) の上隣接対角成分はすべて非零である。このとき \(\ker N^m\) の次元を調べると、ジョルダンブロックがただ一つであることが分かる。

したがって \(A\) のジョルダン標準形は \(J_k(1)\) となり、\(A\) は \(J_k(1)\) に相似である。

解答例

行列 \(A \in M_k\) は上三角行列であり、すべての \(i\) に対して \(a_{ii} = 1\) である。したがって \(A\) の固有値はすべて \(1\) である。

ここで \(N = A - I\) とおく。

A = I + N

このとき \(N\) は対角成分がすべて \(0\) の上三角行列である。また仮定より \(a_{i,i+1} \neq 0\) であるから

N_{i,i+1} \neq 0
\quad (i=1,\ldots,k-1)

が成り立つ。

まず \(Nx=0\) を満たすベクトル \(x=(x_1,\ldots,x_k)^{\top}\) を考える。

Nx =
\begin{pmatrix}
a_{12}x_2 + * \\
a_{23}x_3 + * \\
\vdots \\
a_{k-1,k}x_k \\
0
\end{pmatrix}

ここで最下行から順に考えると、\(a_{k-1,k} \neq 0\) であるから \(x_k = 0\) が従う。これを順に上へ代入すると

x_2 = x_3 = \cdots = x_k = 0

となる。したがって

\ker N = \mathrm{span}\{e_1\}

であり

\dim \ker N = 1

が成り立つ。

したがって固有値 \(1\) に対応する固有空間の次元は \(1\) である。一方、固有値の代数的重複度は \(k\) であるから、ジョルダン標準形においてブロックはただ一つであり、その大きさは \(k\) である。

J_k(1)

が \(A\) のジョルダン標準形となる。

よって \(A\) は \(J_k(1)\) に相似である。


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