[行列解析3.1.P18]逆行列と相似になる条件

3.標準形と三角因子分解

3.1.P18

3.1問題18

\( A \in M_n \) が正則であると仮定する。

(a) もし \( A \) の各固有値が +1 または −1 であるならば、\( A \) は \( A^{-1} \) と相似である理由を説明せよ。

(b) 正則な \( B, C, S \in M_n \) が存在して、\( A = BC, \; B^{-1} = S B S^{-1}, \; C^{-1} = S C S^{-1} \) が成り立つと仮定する。このとき \( A \) が \( A^{-1} \) と相似であることを示せ。

ヒント

固有値がすべて \( \pm1 \) ならば、\( \lambda^{-1}=\lambda \) であることを用いる。

ジョルダン標準形で考えると、\(A\) と \(A^{-1}\) のブロックは一致する。

与えられた関係式から \(A^{-1}\) を計算し、共通の相似変換行列 \(S\) を用いて変形する。

解答例

(a) \(A\in M_n\) を正則とし、その固有値がすべて \(+1\) または \(-1\) であるとする。 このとき任意の固有値 \(\lambda\) について

\lambda^{-1}=\lambda

が成り立つ。

\(A\) のジョルダン標準形を

A \sim \bigoplus_{\lambda=\pm1}\bigoplus_k J_k(\lambda)^{\,m_{k,\lambda}}

と書く。このとき各ブロックについて

J_k(\lambda)^{-1} \sim J_k(\lambda^{-1})=J_k(\lambda)

である。したがって

A^{-1} \sim \bigoplus_{\lambda=\pm1}\bigoplus_k J_k(\lambda)^{\,m_{k,\lambda}}

となり、これは \(A\) のジョルダン標準形と一致する。 ゆえに

A \sim A^{-1}

である。

(b) 正則な \(B,C,S\in M_n\) が存在し、 \(A=BC\), \(B^{-1}=SBS^{-1}\), \(C^{-1}=SCS^{-1}\) とする。

まず

A^{-1}=(BC)^{-1}=C^{-1}B^{-1}

である。仮定より

C^{-1}B^{-1}
=(SCS^{-1})(SBS^{-1})
=S(CB)S^{-1}

となる。

一方

SAS^{-1}
=S(BC)S^{-1}
=(SBS^{-1})(SCS^{-1})
=B^{-1}C^{-1}

である。

ここで

B^{-1}C^{-1}
=B^{-1}(C^{-1}B^{-1})B

より、\(B^{-1}C^{-1}\) と \(C^{-1}B^{-1}\) は相似である。 したがって

SAS^{-1} \sim A^{-1}

が成り立つ。ゆえに

A \sim A^{-1}

である。


行列解析の総本山

総本山の目次📚

[行列解析]総本山📚
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

記号の意味🔎

[行列解析9.0]主要な記号一覧🔎
行列解析で使用している記号や用語の簡単な説明です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました