6.2.問題集
6.2.P1
行列 \(A \in M_n\) が不可約であり、かつ \(n \ge 2\) であるとする。\(A\) にゼロ行またはゼロ列が存在しないことを示せ。
6.2.P2
例を用いて、(6.2.28) における不可約性の仮定が必要であることを示せ。
6.2.P3
\(A = [a_{ij}] \in M_n\)、\(\lambda, x = [x_i]\) が \(|A|\) の固有値・固有ベクトルの組であり、すべての \(x_i > 0\) であるとする。
\(D = \mathrm{diag}(x_1, \dots, x_n)\) とする。
なぜ \(D^{-1}|A|D\) のすべてのゲルシュゴリン円が \(\lambda\) を通り、\(\lambda = \rho(|A|)\) となるのかを説明せ。
図を描け。また、\(D^{-1}AD\) の絶対値行和について何が言えるか。
6.2.P4
第8章で証明するが、正の成分を持つ正方行列は必ず正の固有値と正の成分を持つ対応する固有ベクトルを持つ。
この事実と前問を用いて、任意の \(A \in M_n\) に対して \(\rho(A) \le \rho(|A|)\) が成り立つことを示せ。
6.2.P5
(6.2.28) を用いて、多項式 \(p(z) = z^n + a_{n-1}z^{n-1} + \cdots + a_1 z + a_0\), \(a_0 \ne 0\) の根 \(\tilde{z}\) に対するコーシーの界 (5.6.47) が、\(|\tilde{z}| \lt \max\{|a_0|, |a_1| + 1, |a_2| + 1, \dots, |a_{n-1}| + 1\}\) に改善されることを示せ。
ただし、実数 \(|a_0|, |a_1|+1, |a_2|+1, \dots, |a_{n-1}|+1\) がすべて等しくない場合に限る。モンテルの界 (5.6.48)、カーマイケル・メイソンの界 (5.6.49)、小島の界 (5.6.53) に対してはどのような改善が可能か。
6.2.P6
(a) なぜ不可約な上ヘッセンベルグ行列は未簡約であるのかを説明し、 reducible な未簡約上ヘッセンベルグ行列の例を挙げよ。
(b) エルミートまたは対称三重対角行列が未簡約であることと不可約であることが同値である理由を説明せ。
6.2.P7
\(A \in M_n\) を主対角成分がすべて 2、上対角成分がすべて −1 の実対称三重対角行列とする。
(6.2.27) を用いて \(A\) が正定値であることを示せ。
6.2.P8
\(A \in M_n\) に対して \(\rho(A) \le \|A\|_\infty\) が成り立つことは既知である。\(A\) が不可約であり、かつ絶対値行和がすべて等しくない場合に、なぜ \(\rho(A) \lt \|A\|_\infty\) となるのかを説明せ。
不可約性の仮定は省略できるか。
行列解析の総本山

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