6.2.10
定義6.2.10.任意の行列 \(A = [a_{ij}] \in M_{m,n}\) に対して、次の2つの行列を定義する。
\lvert A \rvert = [\lvert a_{ij} \rvert], \quad M(A) = [\mu_{ij}]
ここで、要素 \(\mu_{ij}\) は次のように定める。
\mu_{ij} = \begin{cases} 1, & \text{if } a_{ij} \ne 0, \\ 0, & \text{if } a_{ij} = 0. \end{cases}
このとき、行列 \(M(A)\) を \(A\) のインジケータ行列(indicator matrix)と呼ぶ。
練習問題.行列 \(A \in M_n\) が性質SC(Strong Connectivity)をもつのは、行列 \(\lvert A \rvert\) または \(M(A)\) のいずれか(したがって両方)が性質SCをもつ場合に限ることを示せ。
性質SCの定義に現れる \(A\) の非ゼロ成分の並びは、行列 \(A\) に関連するグラフ上の特定の経路によって視覚的に表現することができる。
行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。
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