6.2.6
系6.2.6. 行列 \(A=[a_{ij}]\in M_n\) を考え、かつ \(A\) のすべての成分がゼロでないと仮定する。もし \(A\) が対角優位であり、かつある \(k\in\{1,\dots,n\}\) が存在して
\lvert a_{kk} \rvert \gt R_k, \quad\text{ただし}\quad R_k=\sum_{j\ne k}\lvert a_{kj}\rvert
が成り立つならば、行列 \(A\) は非特異(nonsingular)である。
証明
証明. \(A\) が対角優位であるので、\(\lambda=0\) は不等式 (6.2.2a) を満たす。仮定により第 \(k\) のゲルシュゴリン円は原点を通らない。したがって,前の定理から 0 は \(A\) の固有値ではない。よって \(A\) は非特異である。■
前述の系は有用かつ興味深いが、不等式 (6.2.3) に含まれる情報をより注意深く利用すれば、さらに強い結論を導くことが可能である。
行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。
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