5.7.8
定理 5.7.8. \(f\) を \(M_n\) 上のプレノルム、すなわち \(M_n\) 上で正値性・斉次性・連続性 (5.4.4) を満たす実数値関数とする。また、\(\| \cdot \|\) を \(M_n\) 上の行列ノルムとする。このとき、有限の正の定数 \(C_m, C_M\) が存在して、すべての \(A \in M_n\) に対して次が成り立つ:
C_m \|A\| \leq f(A) \leq C_M \|A\|
(5.7.9) 特に、\(f(\cdot)\) が \(M_n\) 上のベクトルノルムである場合にもこの不等式は成り立つ。
不等式 (5.7.9) は、行列ノルムに関する事実を行列上のベクトルノルム、さらに一般的にはプレノルムへと拡張する際にしばしば有用である。例えば、ゲルファンドの公式 (5.6.14) はこの方法で拡張される。
行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。
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