[行列解析4.6.7]命題

4.6.7

命題 4.6.7. \(A \in M_n\) を与える。\(x_1, x_2, \ldots, x_k\) を \(A\) の円固有ベクトルとし、それぞれに対応する円固有値を \(\lambda_1, \lambda_2, \ldots, \lambda_k\) とする。もし \(1 \leq i, j \leq k\) かつ \(i \neq j\) に対して \(|\lambda_i| \neq |\lambda_j|\) が成り立つなら、ベクトル \(x_1, \ldots, x_k\) は一次独立である。

証明. 各 \(x_i\) は \(A \bar{A}\) の固有値 \(|\lambda_i|^2\) に対応する固有ベクトルである。補題 1.3.8 により、ベクトル \(x_1, \ldots, x_k\) は一次独立である。

この結果と (4.6.6) を組み合わせることで、ある行列が持つ一次独立な円固有ベクトルの数に下限が与えられる。また、これは (1.3.9) の類似として、円対角化可能性の十分条件を導く。驚くべきことに、もし \(A \bar{A}\) が異なる固有値をもつなら、任意の正則行列で \(A \bar{A}\) を相似変換により対角化すると、その行列は同時に \(A\) を円対角化する。


行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました