4.6.2
定義 4.6.2
行列 \(A \in M_{n}\) が反三角化可能(contriangularizable)であるとは、正則な \(S \in M_{n}\) が存在して \(S^{-1} A \overline{S}\) が上三角行列となることをいいます。同様に、ブロック反三角化可能(block contriangularizable)とは、\(S^{-1} A \overline{S}\) がブロック上三角行列となることを指します。また、もし \(S\) を適切に選んで \(S^{-1} A \overline{S}\) が対角行列となる場合、\(A\) は共役対角化可能(condiagonalizable)といいます。さらに、もしそれがユニタリ合同で所望の形に変換できるなら、ユニタリ反三角化可能(unitarily contriangularizable)あるいはユニタリ共役対角化可能(unitarily condiagonalizable)と呼ばれます。
私たちは (4.4.4) において、ユニタリ合同による三角化(unitary contriangularization)やユニタリ合同による対角化(unitary condiagonalization)に出会いました。
もし \(A \in M_{n}\) が反三角化可能であり、かつ
S^{-1} A \overline{S}
が上三角行列であるならば、計算により次のことが分かります:
\overline{T} = S^{-1} (A \overline{A}) S
の主対角成分は非負になります。
逆に、もし \(A \overline{A}\) のすべての固有値が非負であるならば、(4.4.4) により \(A\) はユニタリ反三角化可能であることが保証されます。
一方で、もし \(A \overline{A}\) の固有値のいくつかが非実数であるか、あるいは実数であっても負であるならば、\(A\) は反三角化可能ではありません。しかし (4.4.9) により、\(A\) がブロック反三角化可能であることが保証されます。その場合、対角ブロックのサイズは 1 または 2 となります。これらの対角ブロックは、\(A \overline{A}\) の固有値のうち、非実数で共役なペア、あるいは実数で負かつ等しいものに対応します。
行列解析の総本山

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