4.3.39
系 4.3.39.
\(A \in M\_n\) をエルミート行列とし、\(1 \leq m \leq n\) とする。このとき次が成り立つ。
\lambda\_{1}(A) + \cdots + \lambda\_{m}(A) = \min\_{\substack{V \in M\_{n,m} \\ V^{*}V = I\_m}} \operatorname{tr}(V^{*}AV)
\lambda\_{n-m+1}(A) + \cdots + \lambda\_{n}(A) = \max\_{\substack{V \in M\_{n,m} \\ V^{*}V = I\_m}} \operatorname{tr}(V^{*}AV) \tag{4.3.40}
各 \(m = 1, \ldots, n-1\) に対して、(4.3.40) の最小値または最大値は、\(A\) の最小の \(m\) 個または最大の \(m\) 個の固有値に対応する直交規格化された固有ベクトルを列にもつ行列 \(V\) によって達成される。\(m = n\) の場合、任意のユニタリ行列 \(V\) に対して \(\operatorname{tr}(V^{*}AV) = \operatorname{tr}(AVV^{*}) = \operatorname{tr}(A)\) が成り立つ。
エルミート行列の固有値と主対角成分はいずれも実数であり、それぞれの総和は一致する。エルミート行列の主対角成分と固有値との間の正確な関係はメジャライゼーション(majorization)の概念を含み、これは変分的な恒等式 (4.3.40) によって動機づけられる。
行列解析の総本山

[行列解析]
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。
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