3.5.7補題
補題 3.5.7.
\( A \in M_k \) が非特異であるとする。このとき、置換行列 \( P \in M_k \) が存在して、任意の \( j = 1, \ldots, k \) に対して
\det \big( (P^T A)[\{1, \ldots, j\}] \big) \neq 0
が成り立つ。
証明.
証明は \( k \) に関する帰納法である。
もし \( k = 1 \) または \( k = 2 \) ならば、結果は明らかである。\( k - 1 \) 以下で成立すると仮定する。非特異な \( A \in M_k \) を考え、その最後の列を削除する。残りの \( k - 1 \) 本の列は一次独立であり、したがって \( k - 1 \) 本の一次独立な行を含む。この行を最初の \( k - 1 \) 行に並べ替え、非特異な上側の \((k - 1)\times (k - 1)\) 部分行列に帰納法の仮定を適用する。これにより所望の置換行列 \( P \) が得られ、\( P^T A \) は非特異となる。∎
次の定理で述べる分解は PLU 分解として知られており、その因子は一意である必要はない。
行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

 
  
  
  
  
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