3.3 問題13
3.3.P13
任意の \(n\) 個の複素数は \(n\times n\) コンパニオン行列の固有値になり得ることを説明せよ。しかしコンパニオン行列の特異値には強い制約がある。
(3.3.12)
A =
\begin{bmatrix}
0 &           &            &    & -a_0       \\
1 & 0        &            &    & -a_1       \\
   & 1        & \ddots &    & \vdots    \\
   &           & \ddots & 0 & -a_{n-2} \\
0 &           &            & 1 & -a_{n-1} 
\end{bmatrix} \in M_n
行列 (3.3.12) をブロック表示
A = \begin{bmatrix} 0 & -a_0 \\ I_{n-1} & \xi^T \end{bmatrix},
\quad \xi = [-a_1,\ldots,-a_{n-1}]^T \in \mathbb{C}^{n-1}
と表し、\(A^*A\) が次の形であることを確認せよ:
A^*A = \begin{bmatrix} I_{n-1} & \xi \\ \xi^* & s \end{bmatrix},
\quad s = |a_0|^2 + \|\xi\|_2^2
ここで \( \sigma_1 \ge \cdots \ge \sigma_n \) は \(A\) の特異値とする。
(a) 示せ:
\sigma_2=\cdots=\sigma_{n-1}=1,\quad
\sigma_1^2,\ \sigma_n^2 = \tfrac{1}{2}\Big( s+1 \pm \sqrt{(s+1)^2 - 4|a_0|^2}\ \Big)
\tag{3.3.16}
別の方法として補間性(interlacing)を用いて \(A^*A\) の固有値 1 の重複度が少なくとも \(n-2\) であることを示し、残る2つの固有値を跡と行列式から決定する方法がある。
(b) 次を検証せよ:\(\sigma_1\sigma_n=|a_0|\)、\(\sigma_1^2+\sigma_n^2=s+1\)、および \(\sigma_1\ge 1\ge \sigma_n\)。ここで \(\xi\neq 0\) のときは両不等号は厳しい。 (c) 式 (3.3.16) はコンパニオン行列の特異値がその成分の絶対値のみに依存することを示している。適当な対角ユニタリ同値変換を施してこの事を別の方法で示せ。問題 5.6.P28 と 5.6.P31 は (3.3.16) を用いて多項式の根に対する上界を与える。
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