[行列解析0.8.7]コーシー・ビネの公式

行列

0.8.7 コーシー・ビネの公式(Cauchy–Binet formula)

この有用な公式は、見た目が行列の積の公式に似ているため、覚えやすい形をしています。これは偶然ではなく、実際には複合行列(compound matrix)の乗法性 (0.8.1.1) に等価なものです。

行列 \( A \in \mathbb{M}_{m,k}(F) \)、\( B \in \mathbb{M}_{k,n}(F) \) とし、\( C = AB \) とします。また、

1 \leq r \leq \min\{m, k, n\}

とし、\( \alpha \subseteq \{1, \ldots, m\} \)、\( \beta \subseteq \{1, \ldots, n\} \) をそれぞれ濃度 \( r \) の添字集合とします。このとき、\( C \) の \( \alpha, \beta \) 小行列(minor)の行列式は、次のように表されます。

\det C[\alpha, \beta] = \sum_{\gamma} \det A[\alpha, \gamma] \, \det B[\gamma, \beta]

ここで、総和はすべての濃度 \( r \) の添字集合 \( \gamma \subseteq \{1, \ldots, k\} \) にわたって取ります。


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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

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