0.3.6 行列式の関数的特徴づけ(Functional characterization of the determinant)
行列式を行(または列)のそれぞれを固定して他を変数とした関数と考えると、ラプラス展開(式 (0.3.1.1))から、行列式は任意の特定の行(または列)の要素に関して線形関数であることがわかります。この性質は、関数 \( A \mapsto \det A \) が行(列)に関して多重線形(multilinear)であると言い表せます。
行列式関数 \( A \mapsto \det A \) は、唯一つの関数 \( f : M_n(F) \to F \) であって、以下の条件を満たします:
- 引数の行に関して多重線形である。
- 交代的(alternating)である:タイプ1の行操作(行の入れ替え)を行うと \( f(A) \) の符号が変わる。
- 正規化されている(normalized):単位行列に対して \( f(I) = 1 \) を満たす。
なお、パーマネント(permanent)関数も多重線形であり正規化されていますが、交代的ではありません。他の一般化された行列関数も同様です。
行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。
コメント