[行列解析0.3.2]定義(順列・偶順列・奇順列・行列式det・パーマネント)

行列

0.3.2 交代和と順列による定義

\( \{1, \dots, n\} \) の順列とは、1対1写像 \( \sigma : \{1, \dots, n\} \to \{1, \dots, n\} \) のことです。恒等順列(identity permutation)は、すべての \( i \) に対して \( \sigma(i) = i \) を満たすものです。全体で \( n! \) 個の順列があり、それらは関数合成の下で群を成します。

0.3.1 節の低次元の例と整合的に、行列 \( A = [a_{ij}] \in M_n(F) \) に対して、次のような別の定義があります:

\det A = \sum_{\sigma \in S_n} \operatorname{sgn}(\sigma) \prod_{i=1}^n a_{i,\sigma(i)}
\tag{0.3.2.1}

ここで、総和はすべての順列 \( \sigma \in S_n \) にわたって取り、\( \operatorname{sgn}(\sigma) \) は「符号関数」(signum)であり、順列を実現するのに必要な隣接交換の最小回数が偶数であれば +1、奇数であれば -1 になります。

したがって、順列 \( \sigma \) が偶順列(even)であれば \( \operatorname{sgn}(\sigma) = +1 \)、奇順列(odd)であれば \( \operatorname{sgn}(\sigma) = -1 \) です。

式 (0.3.2.1) における \( \operatorname{sgn}(\sigma) \) を他の関数に置き換えることで、一般化された行列関数を得ることができます。

例えば、パーマネント(permanent)は、全ての \( \sigma \) に対して符号関数を常に +1 に置き換えることで定義されます:

\operatorname{per} A = \sum_{\sigma \in S_n} \prod_{i=1}^n a_{i,\sigma(i)}

行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

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