[行列解析0.2.4]行列の演算

行列

0.2.4 行列の演算

行列の加法は、同じ次元の行列に対して成分ごとに定義され、「\( A + B \)」と書かれます。これは線形変換の加法に対応し、体の加法の可換性・結合性を受け継ぎます。全ての成分がゼロの行列(ゼロ行列)は加法単位元であり、\( M_{m,n}(\mathbb{F}) \) は \( \mathbb{F} \) 上のベクトル空間です。

行列の積は隣接して書かれ(例:\( AB \))、線形変換の合成に対応します。したがって、積が定義されるのは \( A \in M_{m,n}(\mathbb{F}), B \in M_{n,q}(\mathbb{F}) \) のときに限ります。結合則は成り立ちますが、可換ではありません。

\begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 6 & 8 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 2 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{bmatrix} \neq \begin{bmatrix} 1 & 2 \\ 3 & 4 \end{bmatrix} \begin{bmatrix} 1 & 0 \\ 0 & 2 \end{bmatrix} = \begin{bmatrix} 1 & 4 \\ 3 & 8 \end{bmatrix}

単位行列 \( I \in M_n(\mathbb{F}) \) は積に関する単位元であり、主対角成分が1、それ以外が0です。単位行列やそのスカラー倍(スカラ行列)は、任意の行列と可換であり、それらのみがこの性質を持ちます。

行列の積は加法に関して分配的です。

この本全体で、記号 0 は以下のすべてを表すのに用いられます:体の零元、ベクトル空間のゼロベクトル、\( \mathbb{F}^n \) における全成分が零元のベクトル、\( M_{m,n}(\mathbb{F}) \) における全成分が零元のゼロ行列。記号 \( I \) は任意のサイズの単位行列を表します。混乱を避けるため、必要に応じて添字でサイズを示します(例:\( 0_{p,q}, 0_k, I_k \) など)。


注:当サイトはCAMBBRIDGE公式サイトとは無関係です「Matrix Analysis:Second Edition Roger A. Horn University of Utah Charles R. Johnson」

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