[行列解析7.8.P13]

7.正定値および半正定値行列

7.8.問題13

問題 7.8.P13

\( A = [a_{ij}] \in M_n \) を正定値行列とし、その固有値を \( \lambda_1, \ldots, \lambda_n \) とする。式 (1.2.14) で定義される \( k \) 次の基本対称多項式 \( S_k(t_1, \ldots, t_n) \) を考える。

\( S_1(\lambda_1, \ldots, \lambda_n) = \operatorname{tr} A = S_1(a_{11}, \ldots, a_{nn}) \) であり、アダマールの不等式 (7.8.2) は次のように書き換えられる:

S_n(\lambda_1, \ldots, \lambda_n) \le S_n(a_{11}, \ldots, a_{nn})

式 (1.2.16) および (7.8.2) を用いて、各 \( k = 1, \ldots, n \) に対して次を示せ:

S_k(\lambda_1, \ldots, \lambda_n) \le S_k(a_{11}, \ldots, a_{nn})

最後に、基本的な行列式不等式 (7.8.20)、(7.8.25)、および (7.8.28) の各種バージョンは、可逆で正規化可能な行列に対しても成り立つことに注意せよ。これらの不等式は統一的な手法で導かれる。

ここで \( A = H + iK \in M_n \) とし、\( H \) および \( K \) はエルミート行列とする。\( A \) が可逆で、∗合同変換によって対角化可能、すなわち可逆行列 \( S \in M_n \) および対角ユニタリ行列 \( D = \mathrm{diag}(e^{i\theta_1}, \ldots, e^{i\theta_n}) \) が存在して \( A = S D S^* \) と書けると仮定する(式 (4.5.24)、(4.5.P37) 参照)。

このとき、 \( H = S \Lambda S^* \)、\( K = S \Phi S^* \) が成り立ち、

\Lambda = \mathrm{diag}(\cos \theta_1, \ldots, \cos \theta_n) \\
\Phi = \mathrm{diag}(\sin \theta_1, \ldots, \sin \theta_n)

と表される。

以下の7つの問題ではこの記法を用いる。


行列解析の総本山

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