[行列解析7.6.P20]

7.6.問題20

7.6.P20.

\(F^n\) 上のノルム \(\| \cdot \|\) を考え、次の集合を定義する:

E(\|\cdot\|) = \{ B \in M_n(F) : B \text{ は半正定値かつ } x^* B x \le \|x\|^2 \text{ すべての } x \in F^n \}

正定値行列 \(A \in M_n(F)\) とノルム \(\nu_A(x) = \| A^{1/2} x \|_2\) を考える(7.6.P18参照)。単位球は \(E(A)\) である。次を示せ:(a) 任意の正定値 \(B \in E(\|\cdot\|)\) に対して \(\|\cdot\|\) の単位球は \(E(B)\) に含まれる、(b) ある \(\varepsilon > 0\) が存在して \(\varepsilon^2 \nu_A(x)^2 \le \|x\|^2\) がすべての \(x \in F^n\) に成り立ち、\(\varepsilon^2 A \in E(\|\cdot\|)\)、(c) \(E(\varepsilon^2 A)\) は \(\|\cdot\|\) の単位球を含む、(d) \(E(\|\cdot\|)\) は凸かつコンパクト(閉かつ有界、任意のノルムに対して)であり、正定値行列を含む、(e) 最大行列式を持つ唯一の正定値行列 \(Q \in E(\|\cdot\|)\) が存在する、(f) \(F = \mathbb{R}\) の場合、\(Q \in E(\|\cdot\|)\) は唯一の正定値行列であり、\(\operatorname{vol}(E(Q)) = \min \{ \operatorname{vol}(E(B)) : B \text{ 正定値で } E(B) \text{ が単位球を含む}\}\)。

楕円体 \(E(Q)\) はノルム \(\|\cdot\|\) に対応する Loewner 楕円体である。正定値行列 \(L = Q^{1/2}\) はノルム \(\|\cdot\|\) に対応する Loewner–John 行列である。\(\|\cdot\|\) の単位球は \(\nu_Q(\cdot) = \| L \cdot \|^2\) の単位球に含まれ、かつ接している。したがって \(\|Lx\|^2 \le \|x\|^2\) がすべての \(x \in F^n\) に成り立ち、ある非零ベクトル \(x_0\) で等号が成立する。また、任意の \(|c| = 1\) に対して \(\| L(c x_0) \|^2 = \| c x_0 \|^2\) が成り立つ。


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