7.6.8 正定値行列における行列式の算術・幾何平均不等式
系7.6.8.
\(A, B \in M_n\) を正定値行列とし、\(0 \lt \alpha \lt 1\) とする。このとき次の不等式が成り立つ:
\det(\alpha A + (1-\alpha) B) \ge (\det A)^\alpha (\det B)^{1-\alpha}
等号成立は \(A = B\) の場合に限る。
演習.
\(A, B \in M_n\) が正定値行列であるとき、なぜ次の不等式が成り立つか説明せよ:
\det\left(\frac{A + B}{2}\right) \ge \sqrt{\det(AB)}
等号成立は \(A = B\) の場合に限る。この不等式は行列式に対する算術平均・幾何平均不等式と考えることができる。
(7.6.4(a)) の別の応用は、(7.6.6) と同様の考え方に基づく。
行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。


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