[行列解析7.5.9]定理:半正定値行列のアダマール累乗と関数変換

7.5.9 定理:半正定値行列のアダマール累乗と関数変換

\( A = [a_{ij}] \in M_n \) が半正定値行列であるとする。

(a) アダマール累乗 \( A^{(k)} = [a_{ij}^k] \) は、すべての \( k = 1, 2, \ldots \) に対して半正定値である。さらに、もし \( A \) が正定値であるならば、\( A^{(k)} \) も正定値である。

(b) 次のような解析的関数を考える:

f(z) = a_{0} + a_{1}z + a_{2}z^{2} + \cdots

ここで、係数 \( a_k \ge 0 \) であり、収束半径が \( R \gt 0 \) であるとする。このとき、すべての \( i, j \in \{1, \ldots, n\} \) に対して \( |a_{ij}| \lt R \) が成り立つならば、行列 \( [f(a_{ij})] \) は半正定値である。さらに、もし \( A \) が正定値であり、ある \( i \in \{1, 2, \ldots\} \) に対して \( a_i \gt 0 \) ならば、\( [f(a_{ij})] \) は正定値である。

(c) アダマール指数行列 \( [e^{a_{ij}}] \) は半正定値である。さらに、それが正定値であるのは、\( A \) の任意の2行が一致しない場合に限る。

証明: 正定値性に関する主張のみが証明を要する。(a) の主張は式 (7.5.3) と数学的帰納法から従う。(b) の主張は (a) から導かれる。(c) の主張の証明については、(7.5.P18〜P21) を参照せよ。


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