[行列解析7.4.P10]

7.4.問題10

7.4.P10

\( x, y \in \mathbb{C}^n \) を零でないベクトルとし、\( A, B \in M_n \) を正定値行列とする。

(a) 次を示せ:

|x^* y|^2 \le (x^* A x)(y^* A^{-1} y),

等号は \( x = A^{-1} y \) のときに成立する。

(b) 関数 \( f(A, y) = (y^* A^{-1} y)^{-1} \) は次の変分表現をもつことを示せ:

f(A, y) = \min_{x^* y \ne 0} \frac{x^* A x}{|x^* y|^2}

(c) この表現から \( f(A + B, y) \ge f(A, y) + f(B, y) \) を導け。

(d) \( y = e_i \)(第 \( i \) 成分が1で他が0の標準基底ベクトル)とすると、次が成り立つ:

\gamma_{ii}^{-1} \ge \alpha_{ii}^{-1} + \beta_{ii}^{-1},

ここで、\((A + B)^{-1} = [\gamma_{ij}], \, A^{-1} = [\alpha_{ij}], \, B^{-1} = [\beta_{ij}]\) である。これはバーグストロームの不等式と呼ばれる。

(e) バーグストローム不等式は次の形でも表すことができる:

(4.7.12.19)
\frac{\det(A + B)}{\det(A + B)[\{i\}^c]} \ge \frac{\det A}{\det A[\{i\}^c]} + \frac{\det B}{\det B[\{i\}^c]}
\\ i = 1, \ldots, n

ここで、分母の行列式はそれぞれ主対角成分に対応する余因子を表す。


行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

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