[行列解析7.1.13]系:半正定値エルミート部分をもつ行列の性質(行と列の包含性)

7.1.13.半正定値エルミート部分をもつ行列の性質(行と列の包含性)

次の系は、行列のエルミート部分が正定値である場合に、その行列が特定の包含性をもつことを示している。

系 7.1.13. \( A \in M_n \) のエルミート部分 \( H(A) \) が正定値であるならば、行列 \( A \) は行と列の包含性(row and column inclusion properties)をもつ。

証明. もし \( H(A) \) が非特異(すなわち正則)であるなら、(7.1.11(b)) より

\operatorname{rank} A = n = \operatorname{rank} H(A)

が成り立つ。したがって、この主張は (7.1.12) から従う。∎

最後に、実数に関するよく知られた事実を一般化しておく。実数 \( a \) と \( b \) が非負であるとき、

a + b = 0 \quad \text{であることと} \quad a = b = 0 \text{であることは同値である。}


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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

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