[行列解析7.0]問題集

7.0.問題集

ここでは、第7章の導入で述べた「正の性質をもつエルミート行列」に関連する演習問題と、より深い学習のための参考文献を示す。

7.0.P1 非負関数によって生成される数列に関する二次形式

もし数列 \( a_k \) が、非負関数 \( f \) によって次の式

a_k = \int_0^1 x^k f(x)\,dx

で生成されるならば、次の二つの二次形式

\sum_{i,j=1}^n a_{i+j+1} z_i z_j
\quad\text{および}\quad
\sum_{i,j=1}^n (a_{i+j} - a_{i+j+1}) z_i z_j,
\quad z = [z_i] \in \mathbb{R}^n

の両方が非負であることを示せ。

7.0.P2 ハンケル行列とテプリッツ行列の対角線構造

ハンケル行列においてどの対角線が一定であるかを示すスケッチを描け。同様に、テプリッツ行列の場合もスケッチを描け。

7.0.P3 三重対角行列 \(A\) の性質

式 (7.0.5.1) における行列 \(A\) が常に既約(irreducible)であることを示せ。また、関数 \(\sigma\) が非負である場合、\(A\) が既約な対角優位(irreducibly diagonally dominant)であることを示せ。

式 (6.2.27) を用いて、行列 \(A\) が非特異(nonsingular)であり、かつそのすべての固有値が正であることを証明せよ。

参考文献

実対称正定値行列に関する短い概説としては、以下の文献がある。

C. R. Johnson, “Positive definite matrices,” Amer. Math. Monthly, 77 (1970), 259–264.

正定値行列に焦点を当て、豊富な参考文献を含む他の総説として、次のものがある。

O. Taussky, “Positive definite matrices,” in Inequalities, ed. O. Shisha, Academic Press, New York, 1967, pp. 309–319.

O. Taussky, “Positive definite matrices and their role in the study of the characteristic roots of general matrices,” Adv. Math. 2 (1968), 175–186.

さらに、Bhatia (2007) の著書は、正定値行列を専題とするものであり、いくつかの特別なトピックが詳細に論じられている。


行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

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