4.6.問題28
4.6.P28
次の行列を考える:
A = \begin{pmatrix} 0 & -1 \\ 1 & 0 \end{pmatrix}
これは実行列、複素行列、または四元数行列として扱うことができる。次を確認せよ:
(a) \(A\) は実固有ベクトルを持たず、従って実固有値も持たない。つまり、非ゼロの実ベクトル \(x\) と実スカラー \(\lambda\) で \(Ax = \lambda x\) を満たすものは存在しない。しかし、複素固有ベクトル \(x_{\pm} = \begin{pmatrix} \pm i \\ 1 \end{pmatrix}\) と複素固有値 \(\lambda_{\pm} = \pm i\) を持つ。
(b) \(A\) は複素共役-固有ベクトルを持たず、従って複素共役-固有値も持たない。つまり、非ゼロの複素ベクトル \(x\) と複素スカラー \(\lambda\) で \(A \bar{x} = \lambda x\)(同値に \(A \bar{x} = x \lambda\))を満たすものは存在しない。しかし、四元数共役-固有ベクトル \(x_{\pm} = \begin{pmatrix} \pm j \\ k \end{pmatrix}\) と四元数右共役-固有値 \(\lambda_{\pm} = \pm i\) を持つ:\(A \bar{x}_{\pm} = x_{\pm} \lambda_{\pm}\)。一方、四元数左共役-固有値に対応する共役-固有ベクトルは存在しない:非ゼロの四元数ベクトル \(x\) と四元数スカラー \(\lambda\) で \(A \bar{x} = \lambda x\) を満たすものはない。確認の際は、四元数の共役積の逆順則 \(ab = \bar{b} \bar{a}\) に注意すること。
行列解析の総本山

[行列解析]総本山
行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。
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