4.4.問題29
4.4.P29
\(A_{ij} \in M_n, i,j=1,2\) とし、
\(A = \begin{pmatrix} A_{11} & A_{12} \\ A_{21} & A_{22} \end{pmatrix} \in M_{2n}\)
とする。
\(A\) が四元数型行列であるとは、\(A_{21} = -\overline{A_{12}}\) および \(A_{22} = \overline{A_{11}}\) を満たすことをいう。
四元数型行列 \(A = [A_{ij}]_{i,j=1}^2\) は、四元数行列 \(A_{11} + A_{12} j\) の複素表現とも呼ばれる。
(a) なぜ実行列 \(A = [A_{ij}]_{i,j=1}^2\) が (1.3.P20) で議論した複素表現 \(R_1(A_{11} + i A_{12})\) に一致するか説明せよ。
(b) \(A \in M_{2n}\) が四元数型行列なら、\(\det A\) が実かつ非負であることを示せ。
(c) \(S_{2n} = \begin{pmatrix} 0_n & I_n \\ -I_n & 0_n \end{pmatrix}\) とする。なぜ \(A\) が四元数型であることと \(S_{2n} A = \overline{A} S_{2n}\) が同値であるか示せ。
(d) \(A, B \in M_{2n}\) が四元数型行列、\(\alpha, \beta \in \mathbb{R}\)、非可換変数の多項式 \(p(s,t)\) を考える。(c) の恒等式を用いて、\(\overline{A}, A^T, A^*, AB, \alpha A + \beta B, p(A,B)\) も四元数型行列であることを示せ。
(e) (c) を用いて、四元数型行列 \(A \in M_{2n}\) は \(S_{2n}\) によって \(\overline{A}\) に相似であり、ジョルダン標準形の非実ブロックが共役ペアで現れる理由を説明せよ。なぜ \(A\) は実行列に相似か?
(f) \(A = [A_{ij}]_{i,j=1}^2 \in M_{2n}\) が実行列の四元数型である場合、なぜそのジョルダン標準形は \(J_k(\lambda) \oplus J_k(\overline{\lambda})\) のペアのみで構成されるか、また \(A\) が \(F \oplus \overline{F}\) に相似である理由を説明せよ。ここで \(F = A_{11} + i A_{12}\)。
(g) \(A \in M_n\) が複素でも、この主張が成り立つことが知られている:
四元数型行列のジョルダン標準形は \(J_k(\lambda) \oplus J_k(\overline{\lambda})\) のペアのみで構成され、すなわち \(A\) は \(F \oplus \overline{F}\) に相似である。なぜこれにより \(\det A\) が実かつ非負であることが確認できるか?
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