[行列解析4.1.5]定理

4.1.5定理

定理 4.1.5.

行列 \(A \in M_n\) はエルミートであることと、ユニタリ行列 \(U \in M_n\) と実対角行列 \(\Lambda \in M_n\) が存在して \(A = U \Lambda U^*\) と書けることは同値である。さらに、\(A\) が実かつエルミート(すなわち実対称行列)であることは、実直交行列 \(P \in M_n\) と実対角行列 \(\Lambda \in M_n\) が存在して \(A = P \Lambda P^T\) と書けることと同値である。

エルミート行列の実線形結合は常にエルミート行列になるが、エルミート行列の複素線形結合は必ずしもエルミート行列にはならない。例えば、もし \(A\) がエルミートであれば、\(i A\) は \(A = 0\) の場合にのみエルミートになる。さらに、もし \(A\) と \(B\) がエルミートなら、

(AB)^* = B^* A^* = BA

となるので、\(AB\) がエルミートであるのは \(A\) と \(B\) が可換の場合に限られる。

可換なエルミート行列に関する最も有名な結果の一つ(量子力学の作用素への重要な一般化がある)は、(2.5.5) の特別な場合として次の通りである。


行列解析の総本山

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