[行列解析4.1.10]定理

4.1.10定理

定理 4.1.10.

\(A \in M_n(\mathbb{R})\) が対称行列であるとする。このとき、すべての非零ベクトル \(x \in \mathbb{R}^n\) に対して \(x^T A x > 0\) (それぞれ \(x^T A x \ge 0\))であることは、行列 \(A\) のすべての固有値が正(それぞれ非負)であることと同値である。

証明.

\(A\) はエルミート(対称)であるため、次を示せば十分である:

\(z = x + iy \in \mathbb{C}^n\)(ここで \(x, y \in \mathbb{R}^n\) かつ少なくとも一方が非零)に対して \(z^* A z > 0\) (それぞれ \(z^* A z \ge 0\))となること。

なぜなら \((y^T A x)^T = x^T A y\) であり、次が成り立つからである:

z^* A z = (x + iy)^* A (x + iy) = x^T A x + y^T A y + i (x^T A y - y^T A x)
= x^T A x + y^T A y

ここで、\(x\) と \(y\) の少なくとも一方が非零であれば、式 \(x^T A x + y^T A y\) は正(それぞれ非負)となる。


行列解析の総本山

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