[行列解析4.0.2]

4.0.2

例 4.0.2.

行列 \( A = [a_{ij}] \in M_n \) が実または複素数の成分を持つとする。このとき、\(A\) によって生成される \(\mathbb{R}^n\) または \(\mathbb{C}^n\) 上の二次形式を考える:

Q(x) = x^T A x 
= \sum_{i,j=1}^{n} a_{ij} x_i x_j 
= \sum_{i,j=1}^{n} \frac{1}{2}(a_{ij} + a_{ji}) x_i x_j 
= x^T \left[ \frac{1}{2}(A + A^T) \right] x

したがって、行列 \(A\) と \(\frac{1}{2}(A + A^T)\) はどちらも同じ二次形式を生成し、後者の行列は対称行列である。したがって、実または複素二次形式を研究する際には、対称行列によって生成される形式だけを調べれば十分である。

実二次形式は物理学において自然に現れる。例えば、物体の慣性を表す式として用いられる。


行列解析の総本山

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行列解析の総本山。行列解析の内容を網羅的かつ体系的に整理しています。線形代数の学習を一通り終えた方が、次のステップとして取り組むのに最適です。行列に関する不等式を研究するには、行列解析の知識が欠かせません。

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